NEC モバイルギア
当時勤めていた会社は、私物を持ち込む事について寛大な会社だった。そのため自前のノートPCや、ヘタするとデスクトップすら持ち込んで仕事で使っていた。
文字を書くよりもキーを打った方が圧倒的に早い自分にとって、メモ書きが必要な会議は苦痛でしか無かった。いつか会議で持ち込めるノートPCが欲しいなぁ…と思いつつも、そのためだけに20万以上もするパソコンを買う気にはなれなかった。
そんな事を考えていたタイミングで、突如NECからモバイルギアが発売されたのは運命だったのかも知れない(大袈裟w)。
最初に手に入れたのはMC-MK12という機種。フルキーボードがついていて、辞書ROMによる日本語変換。テキスト入力に使うにはサイコーに便利なマシンだった!
確かモデムが内蔵されていて、打ち込んだテキストをメールで送る事も出来たので、実務とも相まってとても重宝した覚えがある。
MS-DOSマシンとして使う
何かの雑誌か書籍だったと思うけれども、モバイルギアのメニューを終了させてMS-DOSとして利用出来るプログラムが紹介されていた!
これまた…なんという謎パー的なw
一旦MS-DOSへ降りると、それ以降は比較的自由な設定ができ、世に出回っているアプリを自由に使うことが出来た。
モバイルギア専用の便利なツール等を用意してくださった諸先輩方のおかげで、さらに便利に使う事が出来た!
486SX 25MHzのCPUはMS-DOSで利用するにはめちゃくちゃ速く、手元にあるMS-DOSマシンでは最高速かも知れない。
CPUBENCHでは初代PC-9801の32倍以上をたたき出す!
MC-MK12はメモリが4MB(だったっけ?)あって、MS-DOSで使うには十分でした。
上にも書いた通り、マシンとしての速度が速かったおかげで、Vzエディタで編集、LSIC-86(試食版)でビルドみたいな流れでプログラム開発するのも全く苦にならず。
よく出来たマシンだなぁ…とひとしきり感心。
FreeBSD(PocketBSD)マシンとして使う
そんな事をして遊んでいたら、なんとFreeBSDを移植して動かした人が出てきた!通称PocketBSD。
モバイルギアでFreeBSD??そりゃあムリじゃ無いとは思うけど…実用的な速度で動くんだろか?
そんな疑問を感じていたが、FreeBSDが動くと聞いたらやりたくてしょうがない!
でも、どうやら動かすためにはメモリがたくさん積まれているMC-MK32という機種の方がよさそうだった。手元にあるのはMC-MK12。同じような機種をもう1台買うべきか…。
確か…そのPocketBSDを開発された作者の方を含めた数名で秋葉原で会おうって話になり、その場でMC-MK32を購入した覚えがあるw
一緒にBSDデーモンのシールも手に入れた(FreeBSDが動いてるモバイルギアに貼ったらいいよ…というアドバイスにてw)。
日頃から仕事でUNIXを使っていたので、MS-DOSよりもUNIX系が得意な私。
PocketBSDをインストールし、Muleやgccなどを使えるようにしたところ、ストレスの無い速度で動くことにびっくり!
こりゃいいやって事で、しばらーくPocketBSDで使うようになってた(^^)
Linux(PocketLinux)マシンとして使う?!
PocketBSDを開発された方から「Linuxを移植してみてよ?」という話を持ちかけられていた。でもその当時はあんまり乗り気がせず…。仕事が忙しかった事もあって適当に流していた(^^;;
何かきっかけがあり、突然「よーし移植してみるか」という気持ちになり、MC-MK32にシリアルケーブルをつなぎ、新たにATAフラッシュカードを入手してLILO(Linux Loader)の移植を始めた。
モバイルギア自体PC-9801とハードが似ている事もあり、そこまで移植に苦労した覚えは無いが、486というCPUをブート状態からプログラミングした経験が無かったため、その部分を理解するのにとても時間が掛かった覚えがある。
確か…シリアル経由ではLinuxがブートするところまでは作った気がする。コンソールの実装しなくちゃなぁ…と思い始めた頃には気力が萎えてしまい、他の方に引き継ぐ形でお願いした。その後、それは「PocketLinux」として世に出ていく事となる。
手元に残るモバイルギア MC-MK32
このPocketBSDで活用し、LILOを移植した時に使ったモバイルギアが、いまだ手元に残っている。
経年劣化で表面の塗装がべったべたになる現象が出てしまい、しばらくぶりに発掘した際には、もはや触ることもはばかれるくらいのべとつき具合だった。
仕方ないので無水エタノールでボディ全体を拭きまくった!ベタベタするのは無くなったけれど、黒かった色が変色したように…orz まぁ…このモバイルギアは思い出が詰まっているので、一生手元に置いておくつもりだから問題なし!
記録メディアはPCMCIAの20MB FlashATAを使っていた記憶がある…。
あれ?Linuxを移植する時に手に入れたカードはいずこへ…。うーん曖昧だ。
2年ほど前に発掘した時、環境をSDカードへコピーし直した。
昔も今もMS-DOSで64MBなんてサイズを使い切れるワケもなく、半分以上は余ってる状態w
内蔵のMS-DOSはVer6.20。
有志によりFDもVzエディタも改良され、とても快適に使えるようになっている。
Cドライブから立ち上がるMS-DOSは標準で6MBのRAMDiskを持ち、EMSも潤沢に使えたりと使い勝手はかなり良い。
MS-DOSマシンとしては最強なんじゃないかなーとも思う。
今はFreeBSDやLinuxで使う事も無く、標準のMS-DOSで遊んでいる。
他のMS-DOSマシンを使うたびに思うこと、モバイルギアは本当によく出来たマシンだなぁ…と。これだけのCPU、メモリを備えたモバイルマシンはそうそう無いと思う。CPUが486という事も自分の中ではバッチリで、その後進化したR4000タイプのモバイルギアには興味を示さなかった(仕事以外でR4000を使う気になれなかったというのもあるw)。
手元に残るモバイルギアも、壊れるまで壊れてからも持ち続けようと思う。
お気に入りの1台です(^-^)
また次回!(^-^)ノ