メモリと言ってもメモリ違い
HC-88のやってみたい事も大詰めを迎えてきた!
今回やってみたのはメモリ増設!
メモリはメモリでもメインメモリ(64KB)の事ではなくて、拡張ユニット内に入ってるRAMディスクのメモリの事。
今現在、Aドライブに64KBのRAMディスクがある。これは拡張ユニット(漢字ROMや辞書ROMが入ってる)の中に入っているメモリで、バッテリーでバックアップされている。そのため、よく使うプログラムなどはここに入れてけば、電源ONでいつでも使う事が出来る。
そしてこのメモリ…上の写真が拡張ユニットなんだけど、ものすごーく意味ありげに8つのICが刺さる場所があるんですよね…。しかも基板には「ここまでが64KB、全部付けたら128KB」みたいな感じに印刷までされている。
これは……自分で増設せよとのメーカーからのおぼしめしか!?
…とは言うモノの、同じまたは同等品のメモリが手に入らなければ、自分には手に負えないように思えた。まぁ64KBあるんだから贅沢言うなって事ですかね……
天から舞い降りた奇跡のユニット!
いや言い過ぎだとは思うんですが、このブログにも何度となく登場している「PX-8を所有している知人」から「良かったらコレをどうぞ」と譲っていただいたのがPX-8に取り付ける事の出来るモデムユニット。
へー、モデムなのに名前は「MULTI UNIT 64」なんだ。何がマルチなんだろ?
カプラが繋がったり電話線繋げたりなるほどー。
……って?? BACKUP?
このスイッチはどっかで見たことがある!
ウチにある日本語拡張ユニットにもBACKUPってスイッチがある!
まさか!!!
さっそく開けてみる。
なんと!!!メモリが載ってる!
しかも私が探し求めていたμPD4265Cじゃないですか!!
これは…これは…これはあああああ!!!!(昇天)
だがここから長い葛藤が始まる。
このメモリは通信バッファとして用いるメモリなんだろーかと。だとしたら、このメモリを外してしまったら、このモデムユニット自体が使えなくなってしまう。今となっては滅多に手に入らないこんな貴重なユニットを破壊しても良いのだろうか…もしかして歴史的に大切なものをダメにしてしまう可能性だってある…。己の欲望のために大きな犠牲を…ぶつぶつ…
多分15分は悩んだと思う!(をぃ
結果的にこう考えた。
・BACKUPスイッチもあるのでおそらく純粋な64KB増設ディスク用のメモリだろう
・モデム部分とは独立をしていて、メモリが無くてもモデムが使えなくなる事はない
・そもそも今の時代、モデムの役割は終わっていると思う+今後も使う事はない
・外観はきちんと元に戻した状態で手持ちのPX-8に取り付けておく(接続はしない)
自分勝手な解釈もあるだろうけれど、当時の機械に対しての精一杯の感謝の意を表した上で、モデムユニットのRAMを漢字拡張ユニットに移植する事にした!
RAMを取り外す
まずは何はともあれ、このRAMが取り外せなくては何も始まらない。
こんな足がたくさん生えたチップ、はんだごてで取り外すなんて(私には)無理だ!
というわけで、素人は素人なりに道具に頼るよ!!
はんだ吸い取り器のTP-100にご登場いただいた!
こういう道具に頼らないと、この手のチップは取り外せる気がしない。
チップの裏側を見てみる。
この…緑色の線が波打っちゃってるのをたまーに見かける事があるんですが、これって正常なんですかね??だいたい、こういう基板の場合ははんだが取りにくいって感じてるんですが…。
あとこのチップ抵抗?はどうしたらいーんだろ?メモリの横についてる事が多いような気がするので、これも移植するのかな…。
んー…細かい事は考えず、まずはチップを外してみよう!
TP-100さま、お願いします!!
……えーと…もしかして私、激しく破壊工作してますかね???
はんだが古いせいなのか、まーったく取り外せる気がしない!実際、チップを動かしてみてもびくともしない…あかん…これはあかん(T-T)
ちょいと追いはんだしてみましょうかね…
全部の足に追いはんだをしつつ考えてみたが、どうもTP-100で抜ける気がしない。ここはあたらな道具に登場いただく事にした!
ヒートガン!
これで暖めながらチップを抜いてみよう!
…肝心の作業過程を写真撮り忘れてしまったけれども…
無事に取り外せました!!
追いはんだしたのが良かったんだと思うけれども、1つ20秒程度の時間で取れました。むしろあんまり長い時間ヒートガンを当ててるのが怖かったので、そのくらいの時間で抜けて安心した(^^;
取り外した側の基板も綺麗な状態。
よし、これはキチンと組み立てて保管しておこう(^-^)
RAMを取り付ける
ヒートガンで取り外したばかりのRAMは、足にはんだがたくさんついていて、このままではチップを挿しこむ穴にハマらない。無理にごりごりしてチップおよび基板を痛める前に、正攻法ではんだを吸い取る。
↑こんな感じの足。はんだだらけで太っちょさん。
↓はんだを吸い取るとこんな感じ。
よし、これなら入るかな(^-^) 準備おっけー!
これが漢字拡張ユニット。日本のHC-80にとりつけると漢字が使えるようになる(そして本体はHC-88同等になる?)。
この部分に取り外したメモリをはんだづけするよ!
ここまで来ても不安が拭えない。TP-100でそれなりに長い時間チップを温めてしまった事、最初、ヒートガンを長めに当ててしまった事もあってチップが壊れていないとも限らない。きっと8つのメモリがちゃんと機能しないとダメなんだろうな…とか思うと、ホントに大丈夫だろうか…って気になる。ちなみにこの手のメモリ移植をするのは生まれて初めて。分からない事だらけだ!(T-T)
思ったよりも足がスカスカになってしまったので、マスキングテープでチップが落ちないように固定。それでも緩かったので、チップの足を1つだけはんだづけしつつ、チップの表面をぐいっと押すようにして奥まで入れ込んだ。これでばっちり入ってるはずだ。
綺麗に16個のチップが並んだ!……圧巻(T-T)
なんとなく重量感も増した気がする(当社比)
表面は綺麗に仕上がった!表面は!!
裏は…やっぱり素人はんだづけだ!はんだってどれだけやれば上手になれるんだろ…どうも到達出来るべきところへ到達出来ない感じがしないでもないw センスの問題かもww
ちなみにチップ抵抗?は最初からついていた。これはやっぱりメーカーさんからの「メモリを増設せよ」というご意向がww
さて、ここまででメモリ増設も出来たから動作確認を…と言いたいところだが、実はひとつ忘れてはいけない事がある。メモリのサイズを示すジャンパーがあるのだ。
デフォルトでは「64」の方に黒いジャンパーピンが刺さっている。これを付け替え忘れると、おそらく64KBのままになっておおいに悩むことになるだろうw
よし、これで128KBと認識されるはず。
このピンは、以前分解した際にじっくり基板を見てて気が付いたもの。前に見てなかったら一生気が付かなかったかも知れない。やっぱり分解した基板は良く見とかないといかんね(^^)
動作確認
さあ、実際に動かしてみよう!メモリ増設のような大きな事をしたので、ここは迷わずオールリセットだ。本体のリセット、サブCPU側(本体裏にある)のリセット、メモリバックアップスイッチの切り替えなどを行って、HC-88をまっさらな状態にする。
そして…どきどきの起動!!
電源はふつーに入った。問題は増設したRAMが認識しているか、だ。
CTRL-HELPでシステムメニューに入る。
おおおおお!<RAM DISK>がちゃんと128KBになってる!!!
ハード的にはちゃんと増設出来たって事?熱でチップが壊れる事もなく?
これは嬉しい!めっちゃ嬉しい!
まてまて、まだもう少し調べてみよう!
Aドライブの空きは127KBあると表示された!
試しにセーブしてFILESしたらちゃんと見えてる!
この後、ロードしたら成功した!
これは……メモリ増設に成功したって事じゃないですかね?!
嬉しいなー!ものすごく嬉しい!!(^-^)
ここに今まで作ってきたいくつかのツールを入れておこうと思うし、この先も作ったモノはガンガン入れとこうと思う。幸い、滅多な事でRAMディスクは壊れたりしないので、この先もプログラム開発用のツールを入れまくっていくよ! 夢が広がっちゃう〜(^-^)
ここに来て、だいぶ完璧なHC-88に仕上がってきた感じ。
液晶パネル綺麗、テープドライブ正常、メモリ128KB増設…あとは何が出来るんだろ? RS-232Cでホストマシンと繋がってるおかげで、フロッピーディスクの必要性を何も感じてない。ワリとパーフェクトなマシンになったかも。
HC-40共々、これからも可愛がっていこうと思う(^-^)
ではまた次回!(^-^)ノ